こんにちは!おなじみやです。
本日はChatGPTを使った英文校正の方法を解説する。
結論!文章の質上がるけど,注意点も
まず結論!
英文校正を外注すると文字数にも寄るが,数万〜数十万円かかるうえ,1週間程度の納期が必要になる。
対して,Chat GPTは無料(2023年5月現在),かつ即座に英文校正し,後述のように文章の質をネイティブレベルに引き上げてくれる。
うまく活用すれば,論文執筆にかかる作業効率を爆上げできる。
構成された文章が全て正確かと言われると,そうではない。
科学英語を書く基礎が身についていなければ,校正結果の良し悪しを判断できないだろう。
まずはアカウント登録
では,ChatGPTの使い方と活用例を見てみましょう。
ChatGPTは現在無料で提供されており(有料版もあり),世界中の誰もが簡単に使用することができる。
しかし,無料版は本国の使用状況によって接続できなかったり,反応が遅れたりするので,使用頻度が高い方は有料版を契約するのがお勧め。
使用するためにはアカウント登録が必要。手順は次のとおり。
手順1. ChatGPTにアクセスする。
手順2. Try ChatGPTをクリックする。
手順3. 『Sign up』をクリックする。
(次回以降は『Log in』をクリックして,Email addressとPasswordを入力すればすぐにChatGPTを利用できる。)
手順4. アカウント登録(Email addressとPasswordを設定)する。
Create your accountのページでEmail addressを記入し,Continueをクリック。
続いて,Passwordも記入してContinueをクリック。
その後,指示に従ってアカウント登録を完了する。ログインして以下のようなTop画面が表示されれば準備OK。
実際に英文校正してみよう
では,実際に英文校正を実行してみる。
まず,先ほど示したTop画面の下部に『Send a message』と書かれたチャットボックスがある(ここに入力と書いた部分)。
このチャットボックスに下記の文章を入力してほしい。これ部分がChatGPTへの依頼文である。
Please be an English spelling corrector and improver. I ask you to make my sentences more scientific, elegant, and academic, with use of upper-level English words, keeping the meaning same. Please keep the structure of my sentences and correct grammatical errors. Please only reply the revised sentences.
My sentences are “ここに校正したい文章を入れる”.
『ここに校正したい文章を入れる』の部分に英文を入れてチャットボックス右側の紙飛行機マークを押せば,校正された英文が得られる。
このとき入力する文章は長くても問題ないが,長すぎると文章を飛ばして校正されたりする。なので,セクションごとに入力するのがおすすめ。
今回は,下記のような英作した高分子ミセルの説明文をChatGPTで校正してみる。
1文目のbe動詞(黄線)に誤りがあったり,馴染みのない表現(緑線)があったりと科学論文レベルの文章ではない。
Polymeric micelles is nanoparticles formed by the self-aggregation of amphiphilic polymers with hydrophilic and hydrophobic portions in aquous environment. Polymeric micelles typically have a diameter of 10 – 200 nm with a narrow size distribution. Stimuli-responsive polymeric micelles are particularly promising as drug carriers because they can release an encapsulated drug in response to external stimuli.
では,ChatGPTに英文校正を依頼してみる。
Polymeric micelles are nanoparticles that arise from the self-aggregation of amphiphilic polymers, which consist of hydrophilic and hydrophobic components, in an aqueous environment. Typically, polymeric micelles exhibit a diameter ranging from 10 to 200 nm and possess a narrow size distribution. Stimuli-responsive polymeric micelles are particularly attractive as drug carriers due to their ability to release encapsulated drugs in response to external stimuli.
1文目のbe動詞がareに正しく変更されている。
また,Typicallyが文頭に出ていたり,because SVがdue to形に変更されたりして科学英語らしく校正されている。
というふうに,ChatGPTを使えば簡単に文法やスペルの間違いを直したり,英文そのものを校正できる。
無料で即座に科学英語らしい文章に校正してくれるのはChatGPTの大きなメリットで,上手く利用すればみなさんの論文執筆の大きな助けになってくれるはず。
しかし,校正した英文が完璧なものと信じてはいけない…(赤線部分)。
例えば,今回の場合であれば2文目が,
polymeric micelles exhibit a diameter ranging from 10 to 200 nm and possess a narrow size distribution.
に変更されている。possessには『所有する』という意味があるが,粒径分布を表す表現としては微妙な気がする。
好みによるかもしれないが,変更前の
Polymeric micelles have a diameter of 10 – 200 nm with a narrow size distribution.
の方がスマートで英語論文にもよく使用される表現だと思う。
他にも,校正結果が微妙と思った部分を赤線で示す。
このように微妙な返答もあるので,校正の良し悪しを判断するためには,科学英語の書き方の基礎が必要と感じる。
今後,このブログで科学英語の書き方の基礎についても記録していきたい。
その他の注意点
各国の論文出版社がChatGPTの取り扱いについてどんなスタンスを取るかはまだ不透明である。
そんな中でも,Science誌は使用を禁止していたり,Springer-NatureとElsevierは使用自体は禁止しないが,MethodやAckowledgementに記載を義務付けたりしている。
具体的な取扱い方やルールは今後決められる可能性があり,英文校正だけの使用で記載が必要なのかはグレーゾーンというところだろうか…。ChatGPTなどが作成した文章を検出するアプリも出てきているので,使い方には注意が必要ですね。
私もChatGPTだけに頼った英文の作成はお勧めできません。英語で文章を書くことは,非常に労力が必要ですが,自分を成長させ,やり遂げてこそ価値のある論文が出来上がる。ChatGPTに頼りきらず,適切な距離感で付き合っていくことが得策だと思う。
まとめ
ChatGPTを使って英文校正をする方法を解説してみました。
無料で即座に文章の質を向上させられるのは大きなメリットですが,使いこなすためにはそれなりのスキルも必要ですね。
他にも,科学論文の出版社がChatGPTの取り扱いをどうするか不透明な部分もあるので,現状はいい距離感で使っていけばいいかなと思いました。
長文ですが,読んでいただきありがとうございました。